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わたくしめと旦那様の出会いはもう十年以上前のことになります。

この広いお屋敷に父無し子であるわたくしめが貰われてきた時からのことですから。

生れて以来ずっと住んでおりましたあばら家と比べ、このお屋敷は例えようもなく広く大きなものでございました。

まだ若輩の身であったわたくしは、この広いお屋敷の中にある庭園の仕事の手伝いにと売り飛ばされたのでございます。

もちろんその頃はそんなこととも露知らず、滅多に話しかけられることもなかったあばら家での同居の女に僅かばかりのお菓子を持たされこの見知らぬお屋敷に連れてこられたのでございます。

いつもまともに飯も食べたことのなかったわたくしは、思いがけないお菓子の存在に頭がいっぱいでいちいちくどくど何かを話す女の言葉など耳にも入らず、ただうんうんと頷くばかりでありました。

このお屋敷の広さと大きさに心を奪われ、何かを大事そうに懐に抱えて去ってゆく女に手を振ることさえも忘れていたのです。

多分、庭師の親方だったのでしょう、口をあんぐりと開けてるばかりのわたくしの手を引っ張り引き回し、今日から此処がお前のお世話になるお屋敷で、これからずっと俺の手伝いをすることとなる、そんなことを聞かされた覚えがございます。

もちろんわたくしといえばやはり、持たされたお菓子のことばかりが気になってそれどころではなかったのでありますが。

そうそう旦那様のお話でしたね、それはその親方についてお庭の仕事を始めてから十日ばかりを過ぎた頃でした。
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