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ああ、今夜もコトリと音がいたします。

旦那様からの合図なのです。

操り人形のわたくしめが、もっとも嫌悪する時間の再来なのです。

どうしてこうも、奥様はうぶなのでしょう。

どうしてこうも、おなごと云う生き物は愚かなのでしょう。

真っ暗闇の中、灯した明かりに浮かび上がるもじもじと待ちわびる尻を引き寄せながら、わたくしめはこう思ってしまいます。

いくら箱入りだったとはいえ、いくら世間知らずだったとはいえ、仮にも夫婦となった者どうしが、言葉も交わさず向かい合うこともなく闇の中、畜生のごとくただ交わるだけで、畜生の営みのようにただ種つけるだけで。

ああきっと、旦那様は、わたくしめの醜態をまた眺めておられるのでしょう、壁と天井の境目に設けられたのぞき窓を開けて。

自らの妻の尻を抱え黙々と犯し続ける醜態を眺めておられるのでしょう、下女(しもめ)の手管に身を委ねながら。

それはわたくしめの役だったはずなのに。

其処はわたくしめのモノだったはずなのに。愛しい旦那様の冷ややかな視線を痛いほど受けながら、今夜もわたくしめは憂鬱な時を過ごしているのであります。

このたわわな白い尻を仕方なく嬲りながら。

早く種付けを済ませることだけを祈りながら…。
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わたくしめと旦那様の出会いはもう十年以上前のことになります。

この広いお屋敷に父無し子であるわたくしめが貰われてきた時からのことですから。

生れて以来ずっと住んでおりましたあばら家と比べ、このお屋敷は例えようもなく広く大きなものでございました。

まだ若輩の身であったわたくしは、この広いお屋敷の中にある庭園の仕事の手伝いにと売り飛ばされたのでございます。

もちろんその頃はそんなこととも露知らず、滅多に話しかけられることもなかったあばら家での同居の女に僅かばかりのお菓子を持たされこの見知らぬお屋敷に連れてこられたのでございます。

いつもまともに飯も食べたことのなかったわたくしは、思いがけないお菓子の存在に頭がいっぱいでいちいちくどくど何かを話す女の言葉など耳にも入らず、ただうんうんと頷くばかりでありました。

このお屋敷の広さと大きさに心を奪われ、何かを大事そうに懐に抱えて去ってゆく女に手を振ることさえも忘れていたのです。

多分、庭師の親方だったのでしょう、口をあんぐりと開けてるばかりのわたくしの手を引っ張り引き回し、今日から此処がお前のお世話になるお屋敷で、これからずっと俺の手伝いをすることとなる、そんなことを聞かされた覚えがございます。

もちろんわたくしといえばやはり、持たされたお菓子のことばかりが気になってそれどころではなかったのでありますが。

そうそう旦那様のお話でしたね、それはその親方についてお庭の仕事を始めてから十日ばかりを過ぎた頃でした。


その頃のわたくしは訳も分からず親方の後をついてまわり、刈り落とされた枝などを片付けることをしておりました。

バサバサと容赦なく落されるそれを何思うことなく集めては焼べるだけの毎日でありました。

そんなある日の朝、堕ち逝く枝がはたと止まり親方が梯子を降りてきたのでございます。


「お早うございます、ぼっちゃん」

親方の声にも手を休めることのなかったわたくしに背中の方から声がかかったのでございます。

「やあ、ご苦労。精が出るね」

その見知らぬ声に手を止めることもなくわたくしは小山の枝をあつめつづけていたのでございます。

親方はとても短気な方で手を休めようなものならば、きつい折檻が待っていたからでありました。

「君は新入りだね?」

その言葉に始めて手を止めたわたくしは、恐る恐る親方を見上げ、ふりむいたのでございました。

わたくしの目に映ったそのお姿に何とも言わずつっ立ってばかりいたわたくしに、親方が近づいてこうべをおさえつけられたのでございます。

「このお屋敷のぼっちゃんだ。ちゃんと挨拶をするんだ」

と。

あわてて改めてぺこりとお辞儀をしたわたくしは、小さな掠れ声で一言だけぼそぼそとつぶやいたのであります。

「…ご、ご主人様よろしくお願いします」

などと。

「ばかやろう、お前のご主人はこのお屋敷の旦那様だ」

再び声を荒げた親方とのやりとりを、ご主人様は面白げに見つめるばかりでありました。

「あはははは、そいつはいいや、気に入ったよ君。それじゃあ今から、この僕が君のご主人様だ」

「ぼっちゃん、そいつはちょっと…」

親方が困ったように返事につまっていると、わたくしめと背格好もあまり変わらないご主人様がじろりと睨んで一言答えたのでございました。

「いいだろ?親方、代わりの手伝いのものは父様に申し上げてつけてもらうようにするから」

「そういったこと…」畏まって親方が返事を小声で言いました。

「それじゃあ、これはもらってゆくから」

親方の返事など最後まで聞きもしないで、ご主人様はわたくしの手を引っ張ってゆかれたのでございます。

それからはわたくしの世界は一変したのでございます。

ご主人様はお屋敷のご自分の部屋へとわたくしを連れ込んで、先ずは汚い身なりを剥ぎ取り(もちろんお女中の方々の手によるものでしたが)湯船にいれ、ご自分のお召し物をわたくしに纏わせたのであります。

「なかなか似合うじゃないか」

珍しい玩具でも手に入れたかのように、ご主人様は満足げにそんなわたくしを眺めおっしゃいました。

「これからは、僕とともに過ごし僕にふさわしいものになってもらうからね」

そうおっしゃったご主人様にわたくしは、ただ頷くだけでご主人様の言葉の意味などわからずに頭を下げるだけでありました。
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